こんにちは。mty style 家づくりアドバイザーの岩田です。
このコラムでは、大阪・兵庫・京都を中心に、300社以上の工務店の現場を見てきた経験をもとに、後悔しない家づくりの考え方をお伝えしています。
最近、家づくりのご相談で増えているのが、「洗濯の負担を減らしたい」というご要望です。
「雨の日でも気にせず洗濯したい」
「洗濯物を運ぶ距離を短くしたい」
「干す・畳む・しまう手間を少しでも減らしたい」
共働き世帯の増加やライフスタイルの変化により、毎日繰り返す家事の負担を少しでも減らしたいと考える方が増えています。
その中で注目されているのが、ランドリールームやガス衣類乾燥機「乾太くん」、ファミリークローゼットなど、洗濯をラクにするための間取りや設備です。
しかし、便利な設備を取り入れれば、必ず暮らしやすくなるわけではありません。
大切なのは、設備そのものではなく、ご家族の暮らし方に合わせて「洗う・干す・乾かす・しまう」までの流れを考えることです。
今回は、洗濯の負担を減らす家づくりの考え方と、共働き世帯が取り入れたい間取り・設備について解説します。
目次
今どきの洗濯事情と、家づくりで重視されるポイント
以前は、天気の良い日にバルコニーへ洗濯物を干すことが一般的でした。
しかし最近では、外干しを前提にしないご家庭も増えています。
その背景には、暮らし方や住宅環境の変化があります。
出典:内閣府 男女共同参画局「男女共同参画白書 令和6年版」
共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移(妻が64歳以下の世帯)
・共働き世帯の増加による家事時間の変化
・都市部で敷地が限られ、外干しスペースを確保しにくい
・花粉や黄砂、PM2.5への対策
・外からの視線や防犯面への配慮
こうした変化から、現在は室内干しや乾燥機などを活用し、洗濯に関わる時間や手間を減らす住まいづくりへと考え方が変化しています。
洗濯で本当に負担になるのは「洗う」よりもその後の作業
洗濯というと、「洗濯機を回すこと」が中心に思われがちです。
しかし実際には、洗濯機を回した後にも、
・干す
・乾かす
・取り込む
・たたむ
・収納する
という複数の工程があります。
一つひとつは短い作業でも、毎日繰り返すことで大きな負担になります。
例えば、洗濯物を2階へ運ぶ、各部屋へ片付ける、干す場所と収納場所を何度も往復する。
こうした「移動」や「小さな手間」の積み重ねが、家事の負担につながります。
だからこそ、最近の家づくりでは単に便利な設備を採用するだけではなく、洗濯に関わる一連の作業をどれだけスムーズにできるかという視点が大切になっています。
共働き世帯が考えたい、洗濯の負担を減らす間取りと設備
洗濯の負担を減らす方法は、一つの設備を取り入れるだけではありません。
大切なのは、ご家族の生活スタイルに合わせて、「洗う・干す・乾かす・しまう」までの流れをどう整えるかを考えることです。
① 乾かす時間を減らす「乾太くん」
近年、共働き世帯を中心に採用が増えている設備が、ガス衣類乾燥機「乾太くん」です。
洗濯物を干す時間を短縮できるだけでなく、天候や時間に左右されず洗濯できることが大きなメリットです。
例えば、
・洗濯物の量が多い
・花粉や黄砂の時期も外干しを避けたい
・洗濯にかかる時間を短縮したい
というご家庭と相性が良い設備です。
ただし、すべての衣類を乾燥できるわけではありません。
デリケートな衣類や乾燥機に向かない素材もあるため、室内干しスペースと組み合わせて計画することで、より使いやすい洗濯環境になります。
また、乾太くんを設置するためには、ガス配管や排湿筒の取り付けなど、専用の工事が必要です。
そのため、採用を検討している場合は、間取り計画の段階から設置場所や動線を考えておくことが大切です。
② 干す負担を減らす「室内干しスペース」
室内干しスペースは、天候や時間を気にせず洗濯できる環境をつくるための空間です。
以前は、日当たりの良い土地やバルコニーの位置など、「外で干しやすい環境」が洗濯計画では重視されていました。
しかし現在では、
・雨の日でも洗濯できる
・花粉や黄砂、PM2.5の影響を受けにくい
・夜でも時間を気にせず干せる
・外からの視線を気にせず洗濯できる
といった理由から、室内干しを前提とした間取りも増えています。
ただし、室内に干す場所をつくるだけでは、使いやすい洗濯スペースにはなりません。
例えば、
・家族分の衣類を干せるハンガーパイプの長さと本数
・毎日の干す作業がしやすい高さ設定
・乾きやすさを考えた換気や除湿計画
など、実際の使い方を想定した設計が重要です。
また、洗面室や脱衣室の近くに配置することで、洗濯機から干す場所までの移動を減らし、毎日の作業を効率化できます。
③ たたむ作業をラクにする「作業カウンター」
洗濯の負担を考えるとき、意外と見落とされやすいのが「たたむ場所」です。
乾いた洗濯物を別の場所へ運んでからたたむ場合、その移動や一時置きの手間が発生します。
そこで、ランドリースペースに作業カウンターを設けることで、
・乾いた洗濯物をその場でたためる
・アイロン掛けなどの作業がしやすい
・洗濯物を一時的に置く場所を確保できる
といったメリットがあります。
ただし、作業カウンターは設置するだけではなく、使い方に合わせた計画が大切です。
例えば、
・立って作業するのか、座って作業するのかによる高さ設定
・衣類を広げられる十分な奥行き
・アイロンを使用する場合のコンセント位置
・収納やハンガーパイプとの配置
まで考えることで、毎日の洗濯作業がよりスムーズになります。
洗濯は「干す場所」だけではなく、「たたむ・片付ける場所」まで含めて計画することで、家事負担を減らすことができます。
④ しまう負担を減らす「ファミリークローゼット」
洗濯の負担を考えるうえで、最後に残る作業が「しまうこと」です。
洗濯物は乾いた後も、たたむ、運ぶ、収納するといった作業が必要になります。
そのため、収納場所は単純にランドリースペースの近くに配置すれば良いというわけではありません。
例えば2階建て住宅では、水回りを1階に配置し、寝室や子ども部屋を2階に配置する間取りも多くあります。
その場合、すべての衣類を1階に収納すると、朝の身支度や生活動線によっては不便に感じることもあります。
また、ファミリークローゼットのように衣類をまとめて収納する場合は、湿気がこもらないように換気や空気の流れも考える必要があります。
大切なのは、距離を短くすることだけではなく、ご家族が毎日通る動線や、衣類を快適に管理できる環境まで考えて収納を配置することです。
例えば、
・洗濯物を取り込んだ後に自然と通る場所に収納を設ける
・普段使う衣類と季節物を分けて管理する
・換気や湿気対策を考えて収納計画を立てる
ファミリークローゼットは便利な収納ですが、採用すること自体が目的ではありません。
ご家族の暮らし方に合わせて、「どこに何をしまうと毎日ラクになるのか」「長く快適に使える収納になるのか」を考えることが、家事負担を減らすポイントです。
⑤ 汚れ物の処理をラクにする「スロップシンク」
スロップシンクは、洗面台では扱いにくい汚れ物を洗うための専用シンクです。
子育て世帯では、
・泥で汚れた衣類の予洗い
・上履きや運動靴のつけ置き洗い
・雑巾や掃除用品のお手入れ
などに活用できます。
洗面台で汚れ物を洗う必要がなくなるため、水回りをきれいに保ちやすいこともメリットです。
また、お子さまが成長した後も、ペット用品の洗浄や掃除用品のお手入れなど、暮らし方に合わせて使い続けられる設備になります。
実際に採用された洗濯の負担を減らす間取り実例
洗濯の負担を減らす方法に、決まった正解はありません。
大切なのは、ご家族の生活リズムや価値観に合わせて、必要な設備や間取りを考えることです。
① 夜に洗濯する共働き世帯の住まい
こちらのお住まいでは、ご夫婦ともに仕事から帰宅する時間が遅く、洗濯は夜に行うことが多い生活スタイルでした。
そのため、日中に外干しすることを前提にせず、天候や時間に左右されにくい室内で完結できる洗濯環境を計画しました。
ランドリールームには室内干しスペースを設け、さらに浴室で使用するタオル類などは、使う場所に合わせて近くの収納へ配置。
一方で、家族それぞれの衣類は寝室や子ども部屋で使うことを考え、2階の収納へ分けることで、暮らしやすい動線を整えています。
洗う
↓
干す
↓
乾かす
↓
使う場所へしまう
という流れを意識することで、単純に収納距離を短くするのではなく、毎日の生活動線に合わせた負担の少ない間取りにしています。
② 生活感を出さず、すっきり暮らせる住まい
注文住宅を建てる方の中には、「リビングはいつでもすっきり見せたい」というご要望も多くあります。
しかし、洗濯物を畳む場所や収納場所が決まっていないと、一時的にリビングやソファに置いてしまうことがあります。
そこで、ランドリースペースの近くにファミリークローゼットを配置。
乾いた洗濯物をそのまま収納できるため、生活空間に衣類が残りにくく、すっきりしたLDKを保ちやすくなります。
家事をラクにすることはもちろん、心地よい空間を維持する仕組みとしても、収納計画は重要です。
③ 暮らしの変化にも対応できるランドリースペース
こちらのお住まいでは、お子さまがサッカーをしており、「洗面台とは別に、汚れ物を気兼ねなく洗える場所がほしい」というご要望がありました。
そこで、ランドリースペースにスロップシンクを設置しました。
お子さまが小さいうちは、
・ユニフォームの予洗い
・泥汚れの衣類洗い
・上履きや運動用品のお手入れ
などに活用できます。
さらに、お子さまが成長した後も、
・ペット用品の洗浄
・掃除用品のお手入れ
など、暮らし方に合わせて使い続けられるよう計画しています。
まとめ|洗濯の負担を減らすカギは、「設備」ではなく「間取り」
洗濯は、毎日繰り返す家事だからこそ、小さな手間の積み重ねが大きな負担になります。
だからこそ家づくりでは、設備の新しさや人気だけを見るのではなく、
洗う
↓
干す
↓
乾かす
↓
しまう
までの流れをスムーズにできる間取りを考えることが大切です。
乾太くんやランドリールーム、ファミリークローゼットなどの設備も、ご家族の暮らし方に合わせて組み合わせることで、本来の良さを発揮します。
一方で、便利そうな設備を取り入れることだけが、家事ラクな住まいにつながるわけではありません。
大切なのは、今の暮らしだけではなく、10年後、20年後の生活まで考えて計画することです。
mty styleでは、「流行している設備」ではなく、「10年後も心地よく暮らせること」を大切に、一組一組のライフスタイルに合わせた住まいをご提案しています。
「家事の負担を減らしたい。」
「毎日の暮らしに、もっとゆとりをつくりたい。」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
ご家族に合った家事動線や間取りを、一緒に考えさせていただきます。
この記事を書いた人:岩田(いわた)|家づくりアドバイザー

以前は住宅業界のアドバイザーとして、大阪・兵庫・京都を中心に近畿圏の工務店300社以上の家づくりを裏側からサポートしてきました。多くの現場や経営の舞台裏を見てきた中で、一番強く感じたのは「建てる側の知識ひとつで、お客様のその後の暮らしが180度変わってしまう」という現実です。
カタログ上の数字だけでは分からない、本当の意味で使いやすい間取りや、10年後に後悔しないための家づくりの考え方。
そんな「業界の目利き」としての経験を隠さずお伝えすることで、地元・大阪の皆様の家づくりが少しでも安心できるものになればと願っています。
